美容業経営者が知っておくべき経営指標


美容業を経営されているオーナーの皆様、美容室の利益は思うように上がっていますでしょうか。美容室の数はコンビニエンスストアよりも多く競争が激しいビジネスの一つであることは以前のコラムでも紹介したとおりです。

そのような競争の激しい業界において、美容室の経営者の方々に相談されることが多く、また悩まれているのは、集客と美容師の採用です。起業または開店した当初は確かに集客や美容師の採用などが重要となります。しかし、意外と売上以外の経営数値については気にしていない経営者が多いというのが実感です。

会計の専門家として日々接している身としては、美容室の損益構造がどのようになっているかについては経営者の皆様は少なくとも知っておく必要があると思いますし、経営課題を抽出するために、気にしておくことは重要なことなのです。

1.美容業特有の経営指標とは

売上高利益率や労働生産性など、どの業種でも一般的な経営指標として利用されるものはありますが、美容業を経営していくためにはそれだけでは不足といえます。

一般的な経営指標に基づく管理が重要なのはいうまでもありませんが、これに加えて美容業特有の経営指標があることをご存知でしょうか。

美容業に特有のよく使われる経営指標として、「店販比率」と「技術材料費率」があります。

では、この経営指標、どのようなもので目標とすべき値はどのくらいにすればよいのでしょうか。

2.店販比率

店販比率とは、店舗販売商品の売上高÷総売上高で算出します。

美容室ですから、カット、カラー、トリートメントなどの施術に対する売上が主要な収入源ですが、店販も重要な収入源になりうるのです。

カットなどの施術は営業時間、席数、従業員数などから、フル稼働したとしても1日当たりの売上には限界があります。そこで、お店全体の売上アップのために店販を行うことで他の収入源を確保するのです。

美容師さんは専門職ですし、商品の販売の経験もないし、販売に対して苦手意識を持つ方は多いでしょう。そもそも、店販はしていないという美容室もあるでしょう。しかし、せっかくお店にいらっしゃっているお客様がいるのに、商品を販売しないことは機会ろすといえます。一般の小売店はまずお客様にお店に来てもらうことから始めなければなりませんが、美容室の場合はすでにお客様が目の前にいるのです。店販はお店の売上を上げる手段としては、非常に有効なものとなるのです。

ヘア関連商品は、コンビニやドラッグストアなどでも販売していますし、美容室で買う人はいるのかと考える方もいらっしゃるとは思いますが、お客様の髪質のことを一番よく知っている美容師さんが、お客様の髪質に合ったヘア関連商品をお勧めすることは、お客様にとっても安心感がありますし、決して販売できないということはありません。

むしろ積極的に店販に取り組んでみてはいかがでしょうか。

一般的には店販比率が20%を超えてくると非常に優秀といえます。

では、お店の店販が増えると収益はどのようになるか、具体的数値で示してみましょう。

月100万円の売上があるお店で営業利益が10万円としましょう。店販をしなければ、店の利益は10万円のままです。これに店販を加えると、店販比率20%、粗利率を40%とすると、月20万円×40%=8万円がプラスとなります。

店販は仕入代金以外のコストはかかりませんので、販売利益がそのままお店の利益となり、月のお店の利益が10万円から18万円にアップします。

店販が安定してくれば、美容室経営も安定するようになりますので、まだ店販に取り組んでいない方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

3.店販で気をつけること

店販比率、店販の有効性について記載しましたが、店販で気をつけなければならないこともあります。

まず、商品の在庫を抱えすぎないことです。商品を仕入れたものの全く売れなかった場合、不良在庫になる可能性があります。また、品ぞろえを幅広くしすぎ、死に筋商品を作ってしまうことも、不良在庫の原因になります。

店販の商品は市販品としてどこにでも売っているようなものではなく、お店で売りにしたい商品に絞って販売することが必要です。自分でお勧めできないものはお客様も購入することはないでしょうし、美容室で販売するメリットもありません。

不良在庫リスクを避ける方法として、受託販売という方法もあります。商品はすごくいいのに販路をあまり持っていない中小メーカーの商品だと受託販売に応じてくれることもあると思います。

受託販売とはお店に商品を置いて販売するのですが、売れた分だけ仕入代金を支払うという方法です。そのため、売れるまで商品の所有権はメーカー側にありますので、お店側に在庫リスクはありません。

また、お客様にお勧めする手法も気をつけなければなりません。押し売りのようなすすめ方をして気分を害された場合、お客様はもうお店に来てくれないかもしれません。お勧めの仕方、販売の仕方についても注意が必要です。

4.技術材料費率

もう一つよく美容室の経営指標として使われるのが、「技術材料費率」です。

技術材料費とは文字どおり施術に使用するシャンプー剤やスタイリング剤などの仕入れにかかる費用です。

また、材料費といっても店販を行っている場合は、技術材料費と店販材料費を分けて把握しておく必要があります。

通常、技術材料費率と店販材料費率は異なりますので、これを区分しないと材料費が適正なのかが把握できなくなります。

材料費率は材料費÷売上高で算出しますが、これは店全体の材料費率であって、技術材料費率を算出するには、技術材料費÷施術にかかる売上高で算出する必要があります。

一般的に材料費率は何%がいいと言われることがありますが、技術材料費率と店販材料費率を混同してしまうと、自分のお店が適正な材料費率かどうか判断を誤ることがあります。

技術材料費率の目安を示すと8%程度がよいとされていますが、あくまでも目安ですので自店舗にあった技術材料費率はどのくらいかまずは検討してみましょう。売上の規模や人件費、家賃などの経費にもよりますが、これよりも技術材料費率が高くなると経営的には厳しくなる可能性があります。

5.まとめ

美容業における重要な経営指標について紹介しましたが、ぜひ自店舗の「店販比率」と「技術材料費率」、あわせて「店販材料費率」を算出して、改善すべきところはないか検討してみてはいかがでしょうか。

美容業に限らずビジネスを行う上で必要な経営指標は他にもありますが、まずは美容業にとって大切な指標については少なくとも理解しておきましょう。

きっと自店舗の課題が見つけられるでしょう。

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