在庫管理手法の一つ 発注点管理とは


小売業での在庫管理における適切な発注点と注文数量を決定するのは難しい問題です。過剰な在庫になると、売れ残りが生じたり、保管費用が発生するなどの問題が生じますし、在庫が過少になると品切れをおこし販売機会ロスが発生することがあります。

重要な在庫管理ですが、その方法の一つとして、発注点管理という手法があります。

発注点管理とは、発注点に達した時点で注文する在庫管理の方法で、定量発注点方式と定期発注点方式の2つの方法があります。

小売業の場合は、取扱商品や業種によって在庫管理の方法が異なってきますが、比較的取扱商品が安定している業種において用いられる発注点管理の方法について、まとめてみたいと思います。

1.発注点管理とは

発注点管理とは、販売によって在庫が減少してきたとしても安全在庫を常に確保し、販売機会ロスを防止するために注文を行う管理方法のことをいいます。発注点管理には2つの方式があることはすでに記載しましたが、取扱商品に季節性がないなど安定している場合には定量発注点方式がとられています。

以下では定量発注点方式について解説します。

2.定量発注点方式

定量発注点方式とは、過去の販売実績から機会ロス防止可能な安全在庫数量を設定し、発注から納品までの期間、売上予測などを考慮して、発注点在庫数量を決定します。

この発注点在庫数量に達した時点で、一定量の発注を行います。したがって、発注時期は決まっておらず、かつ在庫数量の管理を行わなければなりません。

この発注方式は、販売動向が安定している在庫に対して有効な管理方法であるため、季節性のある商品や売上数量が極端に少ない商品には適用できません。

2.1 定量発注点方式の考え方

定量発注点方式による在庫管理を行うためにはいくつかの前提が必要になります。最大在庫数量(または経済的発注数量)、安全在庫数量、売上予測、仕入費用、在庫維持費用、リードタイム(発注から納品までの時間)などを用いて発注点を求めることになります。

これを計算式にすると非常に難しいのでここでは省略しますが、時間軸でイメージした在庫数量の変化をグラフで示すと以下のとおりとなります。

上記グラフで①は予測よりも多く売れたが、安全在庫数量の範囲でカバーできている。

※経済的発注数量…発注費用と在庫維持費用の合計を最小化するための最適な発注数量

※安全在庫数量…発注から仕入(納品)までの間に販売機会ロスを発生させないための在庫数量

2.2 定量発注点方式の特徴

定量発注点方式による在庫管理は、発注点が決まっているため、発注点に達したら決められた一定量を発注すればよいので、発注業務は簡単に行うことができます。

しかし、適時に在庫数量の管理を行わなければならないので、品目数が多い場合、手作業では限界があります。在庫管理をシステム化するなどをして、在庫数量を管理する仕組みの構築が必要です。現在では在庫管理もできるPOSシステムが多くありますので、手作業でできない場合は、自社にあったシステムの導入を検討してみてはいかがでしょう。

また、売上は予測どおりにはいかないものです。拠り所となるのは過去の販売実績ですが、過去の売上動向が将来にわたって続くとは限りませんので、直近の売上動向をふまえて定期的な発注点や経済的発注数量の見直しが必要です。

3.まとめ

今回は在庫管理の方法の一つとして、定量発注点方式を紹介しましたが、定量発注点方式が万能なわけではありません。在庫管理の方法には定期発注点方式や補充点方式、不定量や不定期方式などがあります。商品の特性にあわせて、これらを組み合わせて運用することもあります。

在庫管理に悩まれている方は、どのような方法で管理していけばよいのか一度検討してみてはいかがでしょうか。

藤岡 正光

公認会計士・税理士

東京をはじめ首都圏の店舗経営者に会計、税務サービスを提供しているほか、店舗経営に関する様々なアドバイスを行っている。
経営分析による改善活動を得意としている。

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