小売りビジネスで重要な在庫消化率と在庫管理


商品在庫をもつ小売業の場合、在庫消化率と在庫数量の管理が重要となります。

在庫消化率は販売による利益の最大化を図るために、販売の状況をみながら値下げをいつするか、追加発注をするかどうかなどに関係する重要な指標の一つです。

また、季節性のある商品については、商品の売れ行きによって値下げをしてでも売り切るのか、または翌年に持ち越すのかの判断が求められます。

ここでは在庫消化率の考え方と在庫管理について解説します。

1.在庫消化率とは

在庫消化率は、売上数量÷当初仕入数量で計算されます。仕入数量100個に対して、50個売れたら在庫消化率は50%となります。

小売業をされている方はこの在庫消化率を適切に把握されているでしょうか。もし、把握していない、または勘で在庫管理をしていたら、思わぬ不良在庫や過大な在庫を抱えてしまったり、機会ロスが生じてしまったりするなど、経営や資金繰りにインパクトを与えることがあります。

重要な在庫消化率ですが、可能であればSKU単位で在庫消化率を把握したいものです。SKU単位で把握すれば、よりきめ細かい対応が可能になるからです。

SKUStock keeping Unitの略で在庫管理の最小単位を指します。一般的に品番がSKU単位になりますが、アパレルなどではこれにサイズ、カラー別などより細分化して管理しています。

2.季節性のある商品と販売期間限定商品

季節性のある商品や販売期間が限定されている商品については、販売期間内にいかにして利益を最大化しつつ売り切るかということが重要になります。

そのための判断材料として在庫消化率を把握することと在庫消化率の進捗に対する戦略の策定が必要です。

販売期間での一般的な流れとして、①定価で販売→②売り場での販売方法の変更→③マークダウン→④売り切りのための施策を実行というプロセスで進んでいきます。

2.1 定価での販売

通常は入荷してすぐは値下げして販売することはないでしょうから、定価で販売することになります。

一部の大手小売店では、値引き販売を前提にした定価を設定しているところがあり、原価率が2割から3割と定価を高く設定して、値引き販売することでお得感を出す演出をしているところもありますが、自社のブランド力がないとなかなか出来ない戦略ですし、定価が決まっている他社商品ではできません。

ここでは、一般的な小売店の戦略として記載します。

2.2 売り場での販売方法の変更

定価での販売による在庫消化率をプロパー消化率といいます。プロパー消化率の進捗状況によっては次にとるべき戦略が変わってきます。

値入率によって目標とすべきプロパー消化率は異なりますが、利益を最大化しつつ在庫を消化するためには、通常70%から80%を目標とすべきといわれています。

設定した販売期間と在庫消化率に対して、プロパー消化率が予定どおり進捗している場合は、この段階で特段の施策は必要ありませんが、プロパー消化率の進捗しだいでは、次の施策の実行が必要になります。

まずプロパー消化率が予定よりも低く推移している場合は、売り場での販売方法を見直すことを検討しましょう。店頭での商品のみせ方、POPを使った販促、棚割りの変更などです。定価が適切ではなかった場合は、マークダウンを検討しなければなりません。

また、プロパー消化率が予定よりも高く推移している場合は、販売期間終了前に商品が足りなくなって機会ロスが生じてしまう可能性がありますので、追加発注をするかどうかについて検討することになります。

※機会ロス…商品があれば売れるにもかかわらず、商品がなくなってしまったため販売できなかったことによる逸失利益のこと。

2.3 マークダウン

プロパー消化率が予定よりも低い場合には、前項に記載したとおりマークダウンを検討しなければなりませんが、販売開始から設定した期間を経過した商品についても、マークダウンを検討します。この場合は、販売終了に向けて在庫の整理を行う目的で実施します。

ここで注意しなければならないのは、マークダウンと%OFFとは異なるということです。

マークダウンはSKUごとに定価を下げて在庫消化を図る目的で行われるのに対して、%OFFは通常、個々のSKUごとに行われるものではなく、在庫消化以外に集客を図る目的でも行われます。

OFFはクーポンの発行、会員割引、コーナー割引、店頭割引などの形で行われるものです。(ただし、値札に%OFF表示をしてマークダウンと同じ効果を得る目的で行う場合もあります)

マークダウンか%OFFかは全体の利益に影響を与えますので使い分ける必要があります。

※マークダウン…定価を値引きし、新しい定価を設定すること。

2.4 売り切りのための施策

販売期間の終盤になると、商品を売り切るための施策を検討します。特に季節性のある商品については、販売できる期間が限られますので、売り切るのか翌年度に持ち越すのかの判断も含まれます。

翌年度に持ち越すことはキャッシュを生まない在庫を1年間抱えることになりますし、場合によっては保管場所の費用がかかることもあります。また、翌年度に必ず売れるとは限らないので、翌年度に持ち越す場合は、合理的な理由が求められます。

売り切るための施策としては、在庫の集約、セット販売の強化、さらなるマークダウンや%OFFPOPを使った訴求などがあります。これらを組み合わせて商品を売り切ります。

3.定番商品の在庫管理

定番商品とは、季節などにかかわらず通年にわたって販売する商品のことをいいます。取扱い商品や業種によっては、ほとんどが定番商品であることがあります。

定番商品についての在庫消化率の考え方は季節性商品と同じです。しかし、販売期間が限定されていないので、在庫消化率よりも在庫数量の管理が重視され、利益の最大化よりも機会ロスを防ぐことに重点がおかれます。

定番商品では、新商品に入れ替える場合などを除き、売り切りという概念がありませんので、適切な在庫数量を確保し、機会ロスを防ぐことが重要になります。

3.1 発注点管理

適切な在庫数量を確保するための在庫管理の方法として、発注点による注文を行う発注点管理が行われています。発注点管理には、定量発注点方式と定期発注点方式の2つの方法があります。

定量発注点方式とは、在庫が減少して発注点に達した時点で決められた数量を注文する在庫管理の方法です。

一方で定期発注点方式とは、一定期間ごとに必要数量を注文する在庫管理の方法です。

小売業の場合は、いつお客様が来店し、いつ売れるか予測が難しいため、定量発注点方式がとられます。この方式をとることで店頭の適切な在庫数量を確保することができ、機会ロスの防止を図ることができます。

詳細は在庫管理における発注点管理とはを参照してください。

4.まとめ

在庫消化率の重要性は理解できたでしょうか。機会ロスを最小限におさえ、利益を最大化し、資金繰りを適正化するために在庫消化率を把握し、在庫管理を行うことは小売店にとって重要な業務です。

在庫消化率の考え方は、取扱商品の種類や品ぞろえ、販売期間などによって異なりますので、自社の在庫管理がPDCAサイクルを回しながら適切に行うことができているか一度考えてみましょう。

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