美容業の売上管理のポイント


美容業は基本的には現金商売ですが、エステやマッサージ、カットにオプションを付けた場合など1回に1万円以上かかることもありますのでカード決済のニーズが高く、カードの取り扱いをしている店舗も多くあります。

そのため、簡易レジを利用している店舗もあれば、POSシステムにCATを導入している店舗もあるなど売上管理は様々な方法で行われています。

美容業における経営管理で大切なものの一つとして売上管理があげられます。

適切な売上管理は、損益のタイムリーな把握、顧客分析、適切な現金管理と税務調査対策など重要な業務の一つです。

そこで、売上管理のポイントと注意すべき事項をまとめてみました。

※POSシステム…Point of Salesの略で、高機能レジのこと。計算機機能のみではなく、売上分析、顧客情報管理、勤怠管理などを搭載したシステムもあります。

※CAT…Credit Authorization Terminalの略で、クレジットカードの決済用端末。

1.売上管理はなぜ大切なのか

美容業は数ある現金商売の中の一つと認識されており、税務調査の対象となることが多い業種といえます。

なぜ税務調査が多いかといえば、現金商売の場合、比較的簡単に売上から除外することが可能でかつ悪質な売上除外が行われていることがあるからです。

しかし税務調査が多いからといって恐れることはありません。適切に売上管理、特に現金管理を行っていれば、問題となることはありません。

また、税務調査対策のほか、売上管理には経営状況の把握や顧客管理・分析の目的もあります。

例えば、売上の内容を把握・分析することで、今後の対策を立てることができるようになります。ここで重要なのは売上が増えた減ったという単なる数値比較のみで一喜一憂するのではなく、売上を要素別に分解して、分析を行うことです。

売上高は客数×客単価に分解できますし、カット、トリートメント、パーマ、物販などの内容別に分解することもできます。

こうして分解することで、何が原因で売上が増減しているのかを把握することができ、今後の戦略も立てやすくなります。

2.売上管理のポイント

売上管理の方法には、手書きの簡単なものからシステム化して管理する方法まで様々な方法があります。以下では売上管理のためのポイントと具体的な管理方法について記載します。

2.1 現金売上管理について

お店の現金の主なものとしては、売上金、釣銭、小口金があります。釣銭は毎日一定額、小口金は少額の経費を支払わなければならないときに備えて保管している現金、売上金は文字通り現金売上によるものです。

通常、レジで現金管理を行っていると思いますが、この3種類の現金については明確に分類しておく必要があります。現金に色はついていないため、営業中は区分していないこともあると思いますが、営業終了後に必ず現金実査を行い、各現金残高の確認を行う必要があります。

また、現金の入出金については、現金出納帳で管理するようにしましょう。

売上金については、一日の精算レシート(売上ジャーナル)を出力し、現金売上高と照合します。

簡易レジを使用している場合は精算レシートなどはないと思いますので、売上台帳などと照合することになります。

精算レシートなどの客観的な売上を示す証憑がない場合は、売上台帳など売上を管理する帳票を作成しましょう。

また、レジ保管の現金については、盗難などのリスクがあるのでレジに入れっぱなしではなく必ず夜間金庫を利用するなどして金融機関へ入金するようにしましょう。

2.2 クレジット売上管理について

お客様に対する利便性の向上や現金を扱うことによる盗難や過不足の発生リスクを低減させるために、クレジットカードの取扱いをしているお店は多くあります。

クレジット売上についても現金売上と同様に、営業終了後精算レシート又は売上台帳などと照合しましょう。

クレジット売上については通常、締め日後半月又は1か月後には入金されます。

ただし、お店側はクレジット会社に決済手数料を支払わなければならず、決済手数料を控除した額で入金されますので、注意が必要です。

入金されたときには、クレジット売上の消込を必ず行いましょう。

なお、クレジットの決済手数料は美容業の場合は3%から5%程度が相場ですが、売上の大きな有力店であればもっと低い場合もあるでしょうし、逆に小規模の場合やクレジット売上が少ない場合は高止まりしていることもあります。

手数料率は個々のお店ごとに異なり、交渉次第ということがよくありますので、自社の手数料率がどのくらいか一度確認してみるとよいでしょう。

2.3 売上管理の方法

売上管理の方法は、自社のリソースによって異なってきます。POSシステムを導入し、詳細な売上データをシステム上管理できる仕組みを設けていることもあれば、手書きで管理していることもあるでしょう。

後で分析を行うためには、売上をデータで管理していた方がよいに越したことはありませんが、少々面倒でも少なくともエクセルなどで管理することをお勧めします。

3.顧客管理の重要性

売上の管理が重要なことは前記のとおりですが、美容業にとって顧客管理も重要です。一般的に美容業ではいかにして固定客を増やすかが重要となりますが、アフターフォローのための顧客管理も重要となります。

顧客管理は、手書きやエクセルで管理することもできますが、顧客管理ツールを利用している場合もあります。

顧客情報がどこまで必要か、顧客情報をどのように利用するかによって管理方法は異なってきます。

また、顧客情報と売上情報を連動させると営業活動に効果的に利用することができます。

会員カードを発行することで顧客管理とともに販促ツールとして利用することもできます。

重要なのは、顧客情報をどのように利用するかを明確にすることです。

4.前受金はどうすればいいの?

美容業の中でもエステなどの場合は、複数回分の代金を一括で受け取ることがあります。

売上計上は原則として”サービスを提供したとき”ですので、受け取った代金のうち、未だ施術サービスを提供していない額は前受金として処理する必要があります。

そのため、現金管理に加えて、前受金の管理も顧客ごとに行わなければなりません。

サービスを提供したときに顧客ごとに前受金を充当して売上計上するのか、現金又はクレジット売上とするのかを管理しなければなりません。

顧客数が多い場合は、手書きでは管理できないので売上管理ツールの導入を検討する必要があります。

5.まとめ

売上管理の目的についていくつか紹介しました。税務調査の重要な対象となる売上の管理は、日常業務において重要な業務の一つですが、税務調査対策という消極的な目的ではなく、攻めの経営を行っていくためにも重要な業務です。

形式的な管理にとどまらず、今後の経営改善や事業戦略の立案のために利用することを前提に管理方法を検討することが望ましいと考えています。

藤岡 正光

公認会計士・税理士

東京をはじめ首都圏の店舗経営者に会計、税務サービスを提供しているほか、店舗経営に関する様々なアドバイスを行っている。
経営分析による改善活動を得意としている。

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