切手の会計処理はどのようにしているでしょうか。
使うことも多いですが、金額が小さいだけに会計処理の仕方はまちまちで意外と知られていない事柄もあります。
切手の購入、使用したときの会計処理、期末決算での取り扱いなどまとめてみました。
1.切手の税務上の取扱い
1.1 切手とは
切手とは、日本郵政株式会社が郵便事業で提供するサービスに対して、前払いしたことを証する証紙のことをいいます。
1.2 切手の消費税法上の取扱い
切手の消費税については、非常にわかりにくい規定となっています。
郵便事業における郵送サービスに対する対価として、現金を支払う代わりに前払い購入した切手を貼付けることによって費用負担しているのですが、郵送(運送)は課税取引なので、切手の購入も課税取引に当たるのではないかと考えられますが、切手の購入は、日本郵便株式会社が行う郵便切手類と譲渡取引として非課税取引とされています。(消費税法第6条第1項、別表第一四号イ)
実際、郵便局等で切手を購入した場合、領収書を見てみると非課税とされています。
でも、消費税率が8%に上がった時、はがき代金の消費税相当額が値上げされたではないかと思われるかもしれませんが、3%から5%へ消費税が増税されたときには値上げされませんでした。
切手額面の変更やはがき代金の値上げは、消費税とは必ずしも関係あるわけではなく譲渡価格及び郵送代金の値上げです。
2.切手の会計処理方法
切手の購入は非課税取引とされていますが、これはあくまでも日本郵便株式会社が切手を販売(購入者に譲渡)する場合にのみ非課税扱いされているのであって、切手の使用時(日本郵便株式会社から郵送というサービス提供を受けた時)に課税仕入とされます。
したがって、原則として切手の購入時には貯蔵品に計上し、使用時に通信費として課税仕入処理をすることになります。
ここで原則としたのは、特例が設けられているからです。
継続して切手類等の購入時に課税仕入として費用処理している場合にはこれを認めることとしています。(消費税法基本通達11-3-7)
3.切手の管理
切手の管理については、受払簿等を使って厳密に管理している会社もあれば、行っていない会社もあります。
ではどのようにすればよいのでしょうか。
受払簿等で管理している会社は、取り扱う切手類の量に重要性があり、不正等を防止するために行っている場合があります。切手類を金券ショップに持ち込めば、それなりの額の現金に換金することができるためです。
また、原則的会計処理を行うために受払簿等を利用している会社もあります。受払簿等に基づいて、購入時に貯蔵品勘定に計上し、払い出し時に通信費として費用処理する方法です。
切手類をどのように管理すればよいのかは会社で取り扱っている切手類等に重要性があるかどうかがポイントとなります。
4.期末決算時の会計処理方法
前記したとおり、切手類の会計処理は継続適用を条件に購入時に課税仕入として費用処理することができます。
しかし、取り扱っている切手類に重要性がある場合は、未使用の切手類について原則的処理に戻って貯蔵品に計上することが必要となります。
毎月数件程度で定期的に使用しており、期末に残った切手類も少額であればすぐに使用されることが見込まれますので貯蔵品に計上する必要がありません。
5.やってはいけないこと
購入時に費用処理(損金計上)できるなら、節税のために切手類をまとめ買いしようと考える人が出てくると思いますが、これはやっても意味がありません。
購入時に費用処理が認められているのは、少額で定期的に切手類を使用しており、期末に未使用の切手類もすぐに使用されることが見込まれるからであって、すぐに使用できないほど多額の切手類を購入し、期末に残っている場合は貯蔵品に計上しなければなりません。
また、切手類は金券ショップで換金することができますので、購入した切手類を費用処理したうえで、金券ショップに持ち込んで換金し、ポケットに入れてしまうということを考える人も出てくるでしょう。これは明らかに脱税ですので絶対やってはいけません。
6.まとめ
切手類の取扱いはわかりにくく、また換金可能なものであるにもかかわらず費用処理できるため、不正の温床となりうるものでもあります。
会社の実情に応じた管理方法や会計処理を選択することが必要になります。

公認会計士・税理士
東京をはじめ首都圏の店舗経営者に会計、税務サービスを提供しているほか、店舗経営に関する様々なアドバイスを行っている。
経営分析による改善活動を得意としている。